OTC医薬品の注意すべき重篤な副作用と初期症状

薬局や病院に勤務している薬剤師にとって、OTC医薬品(一般用医薬品、市販薬)は携わる回数が少ないのが現状です。

 

OTC医薬品にどのような成分があるのか、0から勉強するということも日々の業務の中では難しいことだと思います。

 

そこで、確認のためにリスク管理という目線で「過去に死亡例、後遺症が残った症例」についてOTC医薬品の注意点をまとめます。

 

薬剤師のみならず、医薬品を服用する皆さんの参考になればと思います。

OTC医薬品(一般用医薬品、市販薬)の重篤な副作用

副作用には大小さまざまなものがありますが、ここでは人命に関わるほどの重篤な副作用について挙げていきます。

 

消費者庁が平成 27 年4月に注意を促した報道発表資料によると、平成 21 年度から平成 25 年度までの5年間に一般用医薬品を服用し、副作用で死に至った症例が 15 例、後遺症が残った症例が 15 例という報告があります。

 

医薬品用途別の副作用死亡数・症例数で見てみると、

総合感冒薬(風邪薬):8例(死亡例数)、9例(後遺症が残った症例数)

解熱鎮痛消炎剤:3例(死亡例数)、2例(後遺症が残った症例数)

漢方製剤:1例(死亡例数)

鎮咳去たん剤:2例(死亡例数)

その他:1例(死亡例数)、4例(後遺症が残った症例数)

消費者庁News Release市販薬の副作用で重症化することも!初期症状が出たら医師、薬剤師に相談しましょうより抜粋

  となっています。

また、消費者庁が注意を促している重篤な副作用は下記の通りです。

  • スティーブンス・ジョンソン症候群
  • 中毒性表皮壊死融解症
  • 肝障害
  • 間質性肺疾患
  • 腎障害
  • 喘息発作重積等

 

総括をすると、「風邪を含めた呼吸器系の医薬品が重篤な副作用(全身性のものも含む)を引き起こす場合がある。」

ということです。

 

逆に言えばそれ以外の薬効群には重篤な副作用がほとんど報告されていないということですので、まず注意すべきは上記の医薬品カテゴリーを服用する際の注意喚起と万が一副作用が発生した時の対処ということになります。 

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重篤な副作用の初期症状を知っておきましょう

一般用医薬品にも死に至るほどの副作用があることがわかっていただけたかと思います。

実はこれらの副作用は服用する人の体調や体質などにより、誰にでも起こり得ることですので常に体調変化には気を付けなくてはいけません。

 

薬を飲まなければいけない時は誰しもにあるはずです。そのような時は「重篤な副作用の初期症状を知っておく」ことで、重症化を防ぐことができます。

 

一般的に副作用を含めた疾患の治療は、早ければ早いほど重症化を防止できますし、治療の効果も期待できます。

そこで、注意すべき副作用について初期症状を知り、もしもこれらの副作用の発現が疑われる際には速やかに受診をしましょう。

スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)

 初期症状 
「高熱」、「目の充血等の目の変化」、「粘膜の異常」、「皮膚の異常」などが続いたり急激に悪化します。まずは、両目に急性結膜炎(結膜が炎症を起こし、充血・目やに・涙・かゆみ・腫れなどが起こる病態)を生じ、同時~1日後に皮膚症状が現れます。
<症状例>
 高熱(38℃以上)
 目の変化(目の充血、目やに、まぶたの腫れ、目が開けづらい。)
 粘膜の異常(唇や陰部のただれ、のどの痛み、排尿・排便時の痛み)
 皮膚の異常(広い範囲が赤くなる。) 

 ※これらの副作用は全身の粘膜・皮膚にただれや潰瘍を引き起こすもので死に至る場合もあります。主にイブプロフェンやロキソプロフェンといった解熱鎮痛剤を服用してから数日後~2週間以内に発症する場合が多く、場合によっては1か月以上も後に発症する場合があります。

肝障害

 初期症状 
「倦怠感」、「発熱」、「 黄疸」、「 発疹」、「吐き気・おう吐」、「かゆみ」などがみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりする場合があります。
<症状例>
 倦怠感
 発熱
 黄疸
 発疹
 吐き気・おう吐
 かゆみ 

 ※肝機能の低下が進むと腹水や肝性脳症による意識障害が発現します。更には劇症肝炎といった致命的な状況もあります。風邪薬や解熱鎮痛薬に配合されるアセトアミノフェンを服用後、数時間で発症する場合もあれば、数か月以上薬を飲み続けてから起こることもあります。

間質性肺炎

 初期症状 
階段を登ったり少し無理をしたりすると、「息切れがする・息苦しくなる」、「 空咳(コンコンと痰の伴わない乾いた咳)が出る」、「発熱する」、などがみられます。
<症状例>
 息切れ・息苦しい
 空咳
 発熱

 ※肺の組織が炎症、硬化、繊維化をおこして血液中に酸素を供給できなくなります。進行してしまうと致死率が高くなります。漢方薬(小柴胡湯等)や解熱鎮痛薬(アスピリン)などが原因医薬品として有名です。

腎障害(急性腎不全)

 初期症状 
「尿量が少なくなる」、「ほとんど尿が出ない」、「一時的に尿量が多くなる」、「発疹」、「むくみ」、「体がだるい」などの症状がみられます。
<症状例>
 尿量が少なくなる
 尿が出ない
 むくみ
 体がだるい

 ※特にロキソプロフェンやイブプロフェンの解熱鎮痛薬、その他総合感冒薬を服用して、数時間~数年以上が経ってから発症します。腎不全になると人工透析を行う治療が必要となります。

喘息発作(アスピリン喘息等)

 初期症状 
まず鼻水、鼻づまりが起こり、次に咳、 喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)、呼吸困難になることもあります。原因となる医薬品の服用後、1時間程度で発症することが多いです。
<症状例>
 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー鳴る。)
 呼吸困難(息苦しい。)

 ※喘息発作は即時アレルギー反応ですので、症状は急発現・急悪化します。原因となる医薬品はアスピリンやエテンザミドなどが配合されている解熱鎮痛薬や総合感冒薬です。

以下の方はアスピリン喘息を発症しやすいですので、要注意です。

 

・成人になってから喘息を発症した方

・通年性の鼻炎症状(鼻水、鼻づまり)のある方

・慢性 副鼻腔炎(蓄膿症)や 鼻茸(鼻ポリープ)を合併している、又はその手術を受けたことのある方

・ 嗅覚異常、無嗅覚症(臭いを感じない)の合併のある方

・アレルギー検査の結果が陰性(非アトピー型)の方

・季節に関係なく喘息発作が起こる方

おかしいな?と思ったらすぐに行動を!!

上記に挙げた副作用はすべて重篤化によって死に至る可能性があるものばかりです。

現実として、5年間で15名の死亡者を出しているのですから重篤化した際の怖さは分かるかと思います。

 

ここで知っておくべきことは、「まだ大丈夫」とか「もう少し様子を見てみよう」という安易な判断が予後を悪化させてしまうかもしれないということです。

 

上記に当てはまるような症状が出た際にはすぐに医師・薬剤師に相談しましょう。

喘息発作の場合は救急車を躊躇なく呼ぶことが大切です。

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