病院敷地内薬局を巡る泥沼の戦い 政府vs厚生労働省

病院の画像

敷地内薬局の論争は平成28年10月より事実化したことで終了したかのように見えましたが、またまた色々と揉めているみたいです。

 

「やっぱり」という感想以外にはないのですが 笑。

 

ことの発端は「国立病院機構災害医療センター(東京都立川市)」が敷地内へ調剤薬局を誘致するという公募に対し厚労省が「望ましくない」と指導、同医療センターが中止したという問題です。

<参考>

日本経済新聞 電子版「病院の敷地に薬局ダメ 厚労省のかたくなな論理 」

2016/12/13

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病院敷地内薬局の誕生の経緯

病院敷地内薬局誕生の経緯について簡単に説明すると、

 

2015年5月 政府の規制改革会議で方針決定

2015年6月 反対していた厚生労働省は薬局の経営の独立性確保を前提に容認

2015年6月 「規制改革実施計画」閣議決定

2016年1月 中央社会保険医療協議会(中医協)が了承

2016年3月 「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について 通知

2016年10月 療担規則適用(病院敷地内薬局の規制緩和)

 

といった経緯になります。

元々は政府の規制改革会議で患者の利便性(金銭面含む)を向上させるために発案されたのがこの戦いのスタートです。

 

当然、厚生労働省は「医薬分業」「かかりつけ薬局」を強く推進しているため、反対の立場でした。

 

そこで規制改革会議は「薬をもらうのに道を挟んだりした薬局まで行くのは不便で、高齢者や体の不自由な人の負担が大きい」と厚生労働省に見直しを求めます。

 

結局、厚生労働省は「高齢者らへの対応は配慮したい」と歩み寄ったわけです。

 

そうして、療担規則の改定をおこない2016年10月に病院敷地内薬局が誕生したということになります。 

泥沼化する対決(厚生労働省VS政府)

病院敷地内薬局に関しては決着がついたように見えたのですが、療担規則が施行された後に問題が発生しました。

 

2016年10月、「国立病院機構災害医療センター」が敷地内へ調剤薬局を誘致するという公募を厚労省が「望ましくない」と指導したことに対する問題です。(日本経済新聞電子版の記事「病院の敷地に薬局ダメ 厚労省のかたくなな論理 」より)

 

それに対し、「一体、何を持って望ましくないのか。『指導』の方向性がおかしいんじゃないか。」と、11月中旬の規制改革会議のワーキンググループ(WG)が会合で応戦しました。

 

厚生労働省が望ましくないと指導したことには理由があり、

「災害医療の中核として、医薬品を備蓄できる敷地内薬局が必要と考えた」(国立病院機構)。という敷地内薬局の目的に対し、厚生労働省は「患者が病院などの外にある調剤薬局で薬を受け取る医薬分業の方向性と合っていない。」と解釈をしたからです。

 

当然、「病院で使用する医薬品の備蓄」するための敷地内薬局の誘致ということになれば、「薬局経営の独立性確保」という大前提が守られないわけなので、望ましくないという判断に至ったことは頷けます。

 

逆に規制改革会議のWGの立場においても、敷地内薬局という規制緩和が形骸化してしまうのではないかと懸念している状況になっています。

 

この問題については、近く開催される予定のWGで厚生労働省が回答を示すようです。

病院敷地内薬局の在り方について【私見】

上記で敷地内薬局誕生までの経緯と、現在発生している問題について触れてきたわけですが、そもそも論として薬局の在り方に対する両者の認識が大きくずれているのではないかと思っています。

 

今回の規制緩和に至った目的は「患者利益」ですから、この点においては両者の見解は一致しているわけです。

 

しかし、薬局の在り方や薬剤師の存在意義について考えてみると、

政府は「医療費が過大な病院の附随機能」としか思っていないのではないかと感じますし、薬剤師に対しては、医薬品の通信販売の規制緩和時にもあったように、「医療人の一員として捉えていない」「ただ薬を渡すだけ」という思いが見て取れます。

 

対して厚生労働省は「薬局は地域住民の医療を守る機関」と位置づけ、薬剤師に対しても「医療貢献を求めている」わけです。

 

このような認識の違う2者の意見が相反するのは当たり前であって、敷地内薬局の規制緩和を「取って付けたかのような響きのいい言葉である”患者利益”」という目的で合意してしまったこと自体が間違っているのだと思います。

 

当然、薬剤師は厚生労働省が考える「薬局ビジョン」に向けて、医療活動をしているわけですから厚生労働省の見解に賛同する人がほとんどだと思います。

 

今回の「望ましくない」と指導した理由についても「当たり前」と思いますし。

そもそも敷地内薬局の目的が”患者利益”ということで実現した規制緩和なのに、「災害時の備蓄医薬品を確保するために」なんていうのは論外ではないでしょうか?

 

「病院の医薬品在庫を増やさないために、敷地内に薬局を誘致してそれを使用する」というのは到底理解できません。それは病院内で備蓄すべきです。

 

薬局の在庫は「かかりつけ薬局」としてかかる患者のためにあるはずですから。

 

私自身として敷地内薬局に関し、運用によっては患者利益を増大させることのできる有用な規制緩和と思っています。現にそのような薬局を見たことがあります。

 

しかし、政府が厚生労働省の判断に異を唱えるようであれば”病院利益”を優先した敷地内薬局になりかねませんので、そんな規制緩和などやめてしまったらいいのではないでしょうか?

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