電通の社員自殺事件をこのまま終わらせてはいけない!

ダメを出している男性の画像

大手広告代理店電通の女性新入社員が自殺したという痛ましい記事が世間を騒がせています。

 

10年以上の人事キャリアを経て現在に至る筆者にとっては問題だらけの事件、報道です。

 

「月100時間の残業で人は自殺に追い込まれてしまうのか?」

「パワハラ・セクハラの精神的苦痛との因果関係は?」

「報道各局は客観的事実を報道しているのか?」

 

電通では平成3年にも若手社員が過労により自殺しており、本事件は悪質であることを念頭に置かなければなりません。

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黙ってはいられない本事件の悪質さ

日々、薬剤師という立場で薬剤師向けのブログを書いているわけですが、このたびの電通における女性新入社員の自殺報道をうけて「元人事マン」としての血が騒ぎ、本記事を書くに至りました。

 

当事件について多くの新聞・テレビ報道があまりにも会社擁護的な立場で語られているため、ことの真相が解明されても事実報道されずに終息してしまうのではないかと心配でなりません。現状での会社擁護的というのは、電通でおきたこの事件を日本企業全体の問題として取り上げるなど、電通へのフォーカスを曖昧にしてしまっていることを指します。

 

今後は、10月14日の東京労働局による立ち入り調査からの判断に基づき、是正勧告または刑事・民事告発されます。私見では平成3年の過労自殺の際に「防止に務める」としていたにも関わらずこのような事件をおこしてしまった経緯より、告訴は免れないと考えています。

 

そして事実が判明したあかつきには、報道各社は平成20年6月にワタミの新入社員森美菜さんが過労自殺で亡くなった時と同じように、過労自殺を雇用者から出してしまった会社責任を追及し、電通の社会的責任を明らかにしていただきたいものです。

うつ病の直接的原因は長時間労働なのか?

私の人事キャリアの中でも所属していた会社従業員の残業過多により、労働基準監督署より是正勧告を受けたことがあります。

当然のことながら全従業員の勤怠状況のチェックを行い、残業過多の従業員には上司を通じて勤務の是正を勧告しました。それから、毎月全従業員の勤怠状況のチェックをおこない改善したのですが、数千名の規模だと労基法に則った勤務状況に改善されるまで、早くて半年というところでしょうか。

 

さて、このような人事経験の中ですが”うつ病”の発症に至る超過労働の従業員がどれだけいたのかというと、キャリアを通して1名でした。

彼は上司との人間関係に悩んでいましたので、長時間労働が直接的なうつ病の原因になったのかは定かではありません。休職後、職場復帰プログラムにて配置転換後復帰しています。

 

ここで電通の事件に照らし合わせてみると、

 

長時間労働=うつ病(その後自殺)

 

という方程式になって報道されており、本来のうつ病の原因である「精神的ストレス」にほとんど触れられていません。

高橋まつりさんのTwitter(現在は鍵アカ)を見れば社内で「パワハラ」「セクハラ」があったことは明らかであるにも関わらず、それにほとんど触れていない事は意図的であるとしか言いようがありません。

会社組織として機能していない

近年(と言ってもここ10年来)、多くの会社組織ではコーポレートガバナンスを強化または再構築し、近代企業へと変革を遂げてきました。

特にコンプライアンスの強化には多くの企業が取り組んできたことでしょう。私が在籍していた調剤薬局・ドラッグストア業界のような新興業界においても、法令遵守に関する課題を猛スピードで改善してきました。

 

しかし、電通はどうでしょう。

 

高橋まつりさんのTwitterから推測すると、

 

労働基準法36条(36協定)の違反であったり、労働安全衛生法の安全配慮義務違反という明確な違法行為のほか、内部通報制度やセクハラパワハラに対するマニュアルが全く機能していなかったことがうかがえます。

 

更に決算書類から電通労働組合が存在することがわかります(高橋まつりさんが在籍していたのか不明)が、電通労組はこういった会社実態であることを認識しながらも、労使交渉により各種改善をすることが出来なかったことは明らかです。一人の尊い命を失うことになってしまった結果を悔やむべきです。

このようなことから、電通労組は互助組合のような活動(労働組合として機能していない)になっているのではないでしょうか。

本当の問題は組織風土にある

長時間労働ばかりが問題視され、高橋まつりさんに精神的ストレスを与え続けていたその他外部環境要因が明らかにされていません。それが明らかにされない限りは電通という会社は変わることがない、と本気で思っています。

 

 

自殺の直接の原因を考えれば、彼女が長時間労働だけを苦に自殺したのではないことは明確です。

 

その他うつ病の原因となったであろう「セクハラ」「パワハラ」、それらがまかり通ってしまう会社組織に大きな問題があるのではないでしょうか?

 

 

時に小中学生が自殺したとなれば、「いじめが原因だ」とか「同級生に○人に△△といういじめを受けていた」など詳細にわたってワイドショーなどで報道をしています。

テレビの報道で世論が動かされ、「先生に相談したけれども取り合ってくれなかった。」先生は責任をとって教職を辞すこともあります。

 

彼女の自殺については、会社や彼女を取り巻く人たちの中で、多くの法律違反や就業規則違反を犯していることに間違いありません。法律違反については処分を外部に委ねるしかありませんが、就業規則違反を犯していた従業員に対しては規則通り懲戒処分に処すべきです。

事件の真相を正確に

実しやかに噂されている「テレビ各局は取引先である電通の不祥事を伝えづらい」という言葉。

実際にその立場で考えてみると、苦悩もわかりますがテレビ局の社会的責任を全うしない限りは”テレビの存在意義”を否定しかねないことになろうかと思います。

 

現在、電通では「社員の自殺については厳粛に受け止めております。労災認定については内容を把握していないのでコメントは差し控えます」というコメント以外には何も発表しておらず、

10月18日に「最長で月70時間として労使で協定していた所定外労働時間の上限を月65時間に5時間引き下げる運用を始めた」と明らかにしたのみです。

 

ルールは存在しても守らないのが電通ですから、そのような制度改正をおこなったところで、何の意味もありません。

 

電通は広告代理店の市場シェアトップ企業ですが、全国およそ420万ある会社の中でもトップクラスのブラック企業であることに間違いないでしょう。

人事を仕事としていた私の立場で言えば、時代の流れに乗り遅れ、旧態依然のやり方で会社経営を行っている会社が「就職人気企業」であり、高橋まつりさんのような被害者が今後も増えるであろうことが残念でなりません。

 

彼女のような被害者が二度と出ることのないよう、マスコミ各社の皆さまには事の真相を全て明るみにし、電通が本当の意味で反省し、リスタートできるよう願っています。

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