2016年調剤報酬改定後の薬局経営のトレンド

決算書類と電卓の画像

2016年4月の調剤報酬改定は、薬局経営の見直しを迫られるほどの非常に大きな衝撃がありました。

 

それから4か月、業界内の話題は「かかりつけ薬局(薬剤師)の浸透への取り組み」に関するものが多くを占めましたが、医薬分業の在り方に関する討議も多かったような気がします。

 

また、薬局大手3社の平成29年決算の第一四半期(4月~6月)決算短信が開示されました。

 

本稿では薬局経営状況を踏まえながら4か月間のニュース記事を含めて、トレンドをまとめてみます。

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新調剤報酬制度における薬局経営の現状

調剤薬局の大手3社の第一四半期決算の状況が発表されました。

 

アインホールディングス、日本調剤、クオールです。

 

各社一様に増収減益という予想通りの決算となりました。

 

○アインホールディングス(平成28年5月1日-7月31日)

 

売上高 57,819百万円(対前年増減率10.9%)

営業利益高 2,281百万円(対前年増減率△15.8%)

 

○日本調剤

 

売上高 54,476百万円(対前年増減率11.4%)

営業利益高 1,620百万円(対前年増減率△21.1%)

 

○クオール

 

売上高 30,109百万円(対前年増減率4.1%)

営業利益高 1,018百万円(対前年増減率△20.4%)

 

調剤報酬高については成長基調であり今までと変わりませんが、平成28年4月の調剤報酬改定による減益がおよそ15~20%ほどとなっています。

 

しかし、各社共に今年度予算に対しては堅調に推移しており、薬価が確定する頃には営業利益も前年並みに復調してくると思われます。

 

調剤報酬改定による薬局の業績に対する影響は利益へのインパクトが大きく、今後の営業戦略によって上にも下にも振れる可能性が大きいでしょう。

薬局経営を左右する営業戦略

薬局は、いわゆる”依存医療”の中で展開しています。

 

制度依存、処方せん依存という営業の中で、ベクトルを間違えれば致命的な失敗になりかねません。

 

その様な状況の中、平成28年8月現在、各社が取り組んでいる薬局形態は以下の通りです。

 

1.かかりつけ薬局

 

2.健康サポート薬局

 

3.門前薬局

 

4.門内(敷地内)薬局

 

 

1.かかりつけ薬局

 

報酬改定までは”面薬局”なんて呼ばれていましたが、これから目指すところは”かかりつけ薬局”でしょう。

 

ご承知の通り、かかりつけ薬局に関しては調剤報酬額の根幹となる薬局スタイルであり、売上・利益を確保するために必要不可欠な営業形態といっても過言ではありません。

 

薬局運営企業のさまざまな情報を見ても、かかりつけ薬局に対する取り組み度合いが強いのは明確です。

 

制度が始まったばかりとはいえ、厚生労働省が「2025年までに全薬局のかかりつけ薬局化を目指す」と公言をしている以上、調剤報酬に対するシェアも上がってくるでしょうし、かかりつけ薬局の店舗数を増大させることが薬局経営において必須になると思われます。

 

 

2.健康サポート薬局

 

かかりつけ薬局に更なる機能を持たせた健康サポート薬局は、要件への敷居が高い・費用対効果の低下などの理由で積極的な取り組みを示している会社がほとんどありません。

 

現状、「全店のかかりつけ薬局化」に対する労力を考えれば、時期尚早であるとも言えます。

 

今の状態であればボランティア要素が高い(売り上げにならない)活動を求められる薬局運営ですので、今後の制度変更によって健康サポート薬局の取り組みを判断する会社が多いのではないでしょうか。

 

 

3.門前薬局

 

現在の主流である門前薬局ですが、厚生労働省の発信した「患者のための薬局ビジョン」にて、

 

~立地から機能へ~

 

と記載されている通り、医療機関と薬局とのマンツーマン体制はこれからの薬局経営には否定的な見方が多いです。

 

しかし、冒頭でも記載した通り薬局経営は処方せん応需に依存していますので、各社とも門前薬局のメリットを捨てきれないのが現状だと考えます。

 

門前薬局が大半であるアインホールディングスの決算にて、減益のインパクトが想定以下だったため、早急な門前薬局の廃止には至らないはずです。

 

ただ、リスクとしては「院外処方せんを院内に戻す」という話も全国で聞かれていますので、根幹となる”医薬分業論議”の決着が先決になるのではないでしょうか。

 

 

4.門内(敷地内)薬局

 

今年の1月に規制緩和が決定した門内薬局(病院敷地内の薬局経営)に関するニュースが話題となりました。

 

滋賀医科大学付属病院、千葉大学医学部附属病院、益田赤十字病院をはじめとして、地域病院でも敷地内に薬局が建設されるという話がTwitterなどで見られます。

 

かかりつけ薬局を勧める中にあって、国の判断で門内薬局の規制緩和が実現したことは非常に大きな意味があります。

 

「門前薬局はダメだが、門内薬局はOK」

 

という捻じれた制度運営になりましたが、

 

薬局企業にとってみれば願ってもないチャンスです。

 

「処方せんの確保が約束される」

 

わけですから、今後ますます門内薬局の出店が続くものと思われます。

 

薬局経営のトレンドまとめ

○平成28年4月の調剤報酬改定をうけて増収減益の薬局経営となっている

 

○薬価確定により減益幅が縮小される見込み

 

○かかりつけ薬局:積極的な取り組み

 

○健康サポート薬局:障壁が高くネガティブ

 

○門前薬局:様子見

 

○門内(敷地内薬局):メリット多く積極的だが、案件少ない

 

まだまだ3か月の実績でしかありませんが、ベクトルとしては定まりそうな気配です。

 

薬剤師の皆さんもトレンドに乗り遅れないように情報収集は常にしていきましょうね!

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