ドラッグストアが教えてくれる「かかりつけ薬局」に必要なこと

ウォルグリーンの画像

かかりつけ薬局の推進や昨今のドラッグストアのビジネスモデルを考えると、調剤薬局で働く薬剤師にとって大いなる脅威となっているはずです。

 

そして、それを脅威に感じていない薬剤師はこの先、消費者から見放されてしまうかもしれません。

 

”門前薬局”という概念のないアメリカで成長したドラッグストアです。

 

今後、日本で門前薬局が淘汰されるならば、かかりつけ薬局の一番の受け皿はドラッグストアになるのではないでしょうか。

<スポンサーリンク>

ドラッグストアに学ぶ

もともとドラッグストアとは、1970年代に医薬品販売の今後に不安を感じた薬局経営者が集まって、アメリカのドラッグストアを視察、日本で展開させたのが始まりと言われています。

 

言ってみれば、薬局の進化形です。

 

それがなぜ、今まで処方箋応需に対する取り組みが出来ていなかったのか、といえば”日本の文化に馴染んでいなかったから”でしょう。

 

日本の薬局と言えば、1990年代に急激に発展した”門前薬局”が主流ですね。

 

病院やクリニックなどの医療機関に隣接した薬局です。

 

 

しかし今後は、門前薬局に対し調剤報酬のディスインセンティブが強化され、地域に密着した薬局運営を行うよう求められています。

 

これこそが、正にドラッグストアが当初から求めていた薬局の姿であって、これから真の力を発揮するのではないかと推考できる理由です。

 

単なる雑貨屋ではない、綿密なストアプランで出来上がっているドラッグストアです。

 

学ぶべきものは多いと思います。

ドラッグストアのビジネスモデル

まずはドラッグストアの運営で忘れてはならない大前提を知っておきましょう。

 

医薬品の提供を目的とした小売業

 

ということです。

 

 

ドラッグストアのビジネスモデルをご存じない方は、見た目に雑貨屋であると判断してしまいがちですが、間違いなくドラッグストアは最終的に医薬品の提供を目的とする店舗を運営しています。

 

次の質問から、ご自身の行動をイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

○旅先で急に鎮痛薬が必要となったときに、どの薬屋を探しますか?

 

 

ドラッグストアをはじめ、地域の調剤薬局、コンビニエンスストア、家電小売業、スーパーマーケット、GMS(総合スーパー)など、様々な医薬品の販売店があります。

 

 

このブログをお読みになっている方は、ほぼ薬剤師の皆さんですので当てはまるか分かりませんが、

 

過去に私が薬学生に質問した時の結果は、

 

ドラッグストアという答えがおよそ80%でした。

 

 

恐らく、薬剤師であっても「ドラッグストアを探す」という行動をとられる方が多いのではないでしょうか。

 

「最終的に医薬品の提供を目的とするビジネスモデル」とは、このようなことを指します。

ドラッグストアで医薬品を購入しようと思う仕組み

ドラッグストアは「雑貨屋」だと思われているのにもかかわらず、「なぜ医薬品を購入する際に筆頭で思い浮かぶのか?」の仕組みについて説明します。

 

結論から言えば、

 

ドラッグストアが消費者にとって最も医薬品を購入しやすい店舗だから

 

です。

 

 

医薬品を取り扱っている店舗は上記で挙げた通り、いくらでもあります。

 

調剤薬局にも取り扱いのある店舗が増えてきましたが、なぜ、ドラッグストアが薬を購入しやすいのか?

 

それは、そのための戦略をもって営業しているからです。

 

 

詳細のマーケテイング戦略の話はおいておきまして、ここでは「なぜ、ドラッグストアを選ぶのか。」について理由を説明します。

 

 

行動心理学における顧客心理に与える影響について考えてみましょう。

 

ザイアンスの法則(ザイオンス効果、単純接触効果)というものがあります。

 

Wikiによるとザイアンスの法則とは、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果、と説明しています。

 

 

簡単に言うと、「顧客に何度も来店、利用してもらうことで、店舗に対する印象が良くなる」ということです。

 

ドラッグストアに置き換えていうと、

 

 

「その地域で生活している顧客のために、生活に密着した商品を多数取り扱い、来店頻度をより高くして、来店した顧客に対して、親切丁寧な接客応対をする」

 

 

ことで、ドラッグストアに対する好意度や印象を高めています。それが安心や信頼につながっていることは言うまでもありません。

 

実際にはそれだけではなく、インストアマーチャンダイジングによる医薬品イメージの定着もさせているのですが…。

 

 

こうして顧客の頭の中には

 

「またドラッグストアに行きたい、何か困ったらドラッグストアに行こう」

 

と思考が形成されているのです。

【参考】具体的な地域密着のための取り組み

○商圏人口の多い場所に出店する

 

ドラッグストアは地域密着スタイルが元々のコンセプトのため、商圏人口(地図上の店舗を中心とした円の中の生活者人口)が多い場所を選んで出店しています。

 

○雑貨や食品を提供する

 

最寄品の販売をすることで、生活者の来店頻度が高まります。

 

また、雑貨や食品は商品の改廃頻度が高いため、商品提供のための接客機会が増え、顧客とのコミュニケーションが多くなります。

 

○店舗の雰囲気を明るくする

 

店内の照明はコンビニエンスストアと同等(以上)の照度をもち、常に明るく清潔な店舗イメージにしています。

 

スタッフのあいさつや接遇に力を入れ、明るい雰囲気を提供しています。

 

BGMを流すことで楽しい場を提供しながらも、薬局スペースにはスピーカーを付けなかったり、音量をMINにするなどの配慮をしています。

 

○長時間営業

 

生活者が急遽医薬品が必要となったときに、極力営業できているように営業時間を長くしています。

 

 

以上、ザイアンスの法則に基づいた地域密着への取り組みを少しだけ紹介させていただきました。

かかりつけ薬局に必要なもの

これから門前薬局が淘汰されるのだとしたら、今まで門前薬局を利用していた多くの患者はどの薬局をかかりつけ薬局とし、誰をかかりつけ薬剤師とするのでしょうか。

 

 

 

 

2016年現在、調剤薬局が約57000店舗に対して、ドラッグストアは約20000店舗しかありません。

 

まだまだ店舗数が少ないため、競合としてのイメージが沸きづらいとは思います。

 

または、ドラッグストアの薬局機能の浸透については地域さまざまですので、私の言っていることが理解できない方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、少なくとも首都圏、関西圏、中京圏にお住まいの方は、薬局の立場で見たときに、ドラッグストアがどれほどの脅威なのか分かるかと思います。

 

ただ私が言いたのは薬剤師の皆さんが脅威に感じている以上に、生活者はドラッグストアが好きであり、信頼しているということです。

 

 

 

私が住んでいる地域には、薬歴未記載の問題で最初に報道された”くすりの福太郎”がありますが、午前中に薬局を覗くと、どこの薬局も患者で溢れかえっています。

 

近隣には数多くの薬局があるにもかかわらず、です。

 

これは、多くの患者(生活者)と”くすりの福太郎”との信頼関係があの報道ではひび割れなかった、ということでしょう。

選ばれるかかりつけ薬局になるために

ドラッグストアのビジネスモデルから薬局のあるべき姿を考えると、

 

厚生労働省が描く「かかりつけ薬局」の姿と非常に良く似ているな、と思います。

 

かかりつけ薬局は「地域包括ケアシステムの一翼を担い、薬に関して、いつでも気軽に相談できるかかりつけ薬剤師」がいることが重要。

 

 

薬剤師の皆さんは、「いつでも気軽に」をクリアすることの大変さを理解されていると思います。

 

これが可能になるのは、ドラッグストアの”地域密着”というスタイル無しでは難しいでしょう。

 

 

結局は「生活者が満足できる薬局・薬剤師になりなさい」、ということなんですよね。

 

 

「薬局は患者だけを相手にする場所ではないんだよ。」

 

「薬剤師は地域に貢献するんだよ。」

 

 

これは、ドラッグストアが今まで実践してきたことであり、これからの薬局に求められることに他なりません。

 

 

薬局を選ぶのは”患者”ではなく”生活者”であることを忘れなければ、自ずと選ばれる薬局になっているのではないでしょうか。

<スポンサーリンク>

<スポンサーリンク>