調剤報酬制度の抜本的改革の必要性について

空に向かって指を指している画像

薬剤師の皆さんは「薬局が儲けすぎ」って言われて悔しくないですか?

 

生活者から苦言を言われるのなら分かりますが、発信元はいつも日本医師会。地域包括医療で手と手をとって共に進むべき相手ですからね。

 

的を得た指摘ならば良いのですが、なんとも気分が悪い。

 

私は現在保険調剤から離れている身であり、何の”しがらみ”もない立場です。

 

だからこそ、いち生活者として全国の薬局に努めている薬剤師の皆さんの思いを公の場で代弁したいと思った次第です。

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Business Journalの記事振り返り

日本医師会の数ある調剤報酬の指摘の中から、直近の「Business Journalの記事」を振り返ります。

 

2016年4月26日に配信された、大手薬局チェーン社長の超高額給料を日本医師会が問題視!薬局の「儲けすぎ」体質露呈かを目にした薬剤師は多いと思います。

 

いち上場企業の経営者報酬を題材にあげ、本来は一企業の役員報酬規程に対して発するべき苦言をあたかも調剤報酬制度の問題であるかのような論点のすり替え記述をしており、見過ごすことはできないのではないでしょうか?

 

 

日本医師会が薬局の「儲けすぎ」に警告

 

 薬局をめぐっては、近年「儲けすぎ」という批判も根強く、日本医師会が大手薬局チェーン社長の給料を問題視するレポートを公表するなど、調剤薬局への報酬引き下げを求める意見が出ていた。例えば、日本調剤の三津原博社長の14年の報酬は6億7700万円に達している。

 

 結果的には、調剤報酬全体では微増となったが、大病院の前に乱立する“門前薬局”への報酬が引き下げられた。お薬手帳持参者に対しての30円の値下げも、その流れにあるという見方もあり、日本医師会医理事は「今後も厳しく見直しを求めていく」と述べている。

 

 

上記記事の引用を見てもおわかりの通り、一部大手薬局チェーンの問題でなく全ての薬局・薬剤師がそうであるかのように誘導し、結論とするところは「調剤報酬引き下げ」を求める意見です。

 

 

「日本調剤の社長がたくさん給料もらっているから、調剤報酬を下げた方がいい。」など、論拠がめちゃくちゃであって問題提起にもなりません。

 

ただ、こういった記事は今後もWeb上に残るものであり、調剤報酬の仕組み、役員報酬のルール、調剤のマーケットに関して明るくない生活者であれば、

 

「調剤薬局はけしからん!」

 

と連想させるに足るものとなってしまいます。

日本医師会は日本薬剤師会の上部団体か?

更には、過去の記事ではこのような記述もありました。

 

「行きすぎた医薬分業、押し戻す」中川日医副会長 2016年度改定に向け調剤報酬の議論にも関与 2015年6月28日 橋本佳子(m3.com編集長)より抜粋

 

日本医師会副会長の中川俊男氏。

 6月28日に開催された日本医師会定例代議員会で、日医副会長の中川俊男氏は、「医薬分業へのインセンティブを付けすぎ」「調剤報酬への過度な財源配分を見直し、行きすぎた医薬分業を押し戻す」などと問題視、調剤報酬にも不合理な点があるとして、2016年度診療報酬改定に向け、調剤報酬の議論に加わり、強い意見を述べていくとした。

 

 「医薬分業へのインセンティブを付けすぎ」と指摘した根拠として、中川副会長は、医薬分業を進めた結果、過去10年間で、医科の院内処方の調剤料および処方料は約1000億円減少した一方、保険薬局の調剤技術料は約5500億円増加したというデータを提示。「処方せんが院内から院外に移転した分以上に、大きな財源が移動している」(中川副会長)。

 

 2014年度改定で新設された「地域包括診療料」や「地域包括加算」では、その算定要件に、服薬管理が入った。中川副会長は、「全人的な医療を行う中で、服薬管理はかかりつけ医の業務であり、院内処方を原則とすることが明確にされた」と述べ、「かかりつけ薬局」推進の議論もある中、服薬管理は医師が担うべき役割であることを強調した。

 

先の記事における

 

日本医師会医理事は「今後も厳しく見直しを求めていく」と述べている。

 

と併せて

 

2016年度診療報酬改定に向け、調剤報酬の議論に加わり、強い意見を述べていく

 

と語る日本医師会副会長の中川氏は、どのような権利があってこのような発言をしたのでしょう。

 

医薬分業については”経営的に独立した存在”であるからこそ、安全な医療が守られるという観点であるはずなのに、医師会が薬局経営を監視し、更には調剤報酬減額への圧力をかける行為には辟易せざるを得ません。

 

医薬分業は国の施策として順調に進んでいるはずですが、厚生労働省は医薬分業をないがしろにする日本医師会の発言に対してお咎めはしないのでしょうか?

医師と薬剤師の関係

上記のように、日本医師会が医薬分業を否定している以上、医師が医療を支配していると捉えているはずです。

 

しかし、現場では薬剤師その他医療従事者と手を取り合って地域医療に貢献しようと、一生懸命に取り組んでいる医師がたくさんいるのも事実。

 

日本医師会は医療の現場で活躍している医師たちの総意のもと、様々な情報を発信しているのかについては非常に疑わしいと思わざるを得ません。

 

厚生労働省が発信する未来の医療を実現するためには、医師と薬剤師は上下関係であってはならないのは明白です。

適切な調剤報酬とは

今回取り上げた記事によると、「調剤薬局(特にチェーン大手)が儲けすぎている」という日本医師会の指摘は以下の理由によります。

 

・一部大手薬局チェーン役員報酬の問題

・調剤薬局へのインセンティブ(院内で行うよりも院外調剤の方が医療費が高い)

・地域包括医療における服薬管理は医師が行うもの

 

上記記事をまとめると、以上の3点となります。

 

現在行われている調剤報酬に関する論議は既得権益からスタートしているとしか思えません。

 

本来適切な調剤報酬は、医療全体における薬局機能・調剤業務・薬剤師報酬を全て鑑みたうえで論議されるものではないでしょうか。

 

しかしながら、当該指摘は論ずるに足らず。

 

原点であるはずの調剤報酬論議という論点からずれてしまっています。

 

 

 

現在の医療制度は毎年革新を重ね、医療従事者の弛まぬ努力によって世界に誇る医療となっています。

 

しかし医療報酬については点数制がスタートした当時から、一連の流れを逸脱するものではなく、1994年当時から大きな変化はありません。

 

そもそも、その当時の医療費分配が非合理的であった可能性もあります。

 

 

更には、過去20年で薬剤師の職務・職責・職域が大きく変化し、平成28年度のかかりつけ薬局導入に関しては抜本的な薬剤師業務の見直しが求められています。

 

今一度調剤報酬に関して正確な評価をすべき時なのではないでしょうか?

 

既得権益は構造の歪み・ステークホルダーに対する無気力を生みだします。

 

検討が必要です。

 

それでは、日本医師会の指摘に対して論ずるに足らずという理由を説明します。

一部大手薬局チェーンの役員報酬に関して

まずは、薬局が儲けすぎというニュースに対する掲示板での消費者意見をご覧ください。

 

様々な意見がありますし、あって然るべきですが、

 

「調剤報酬が高い」

 

「調剤報酬を減らすべき」

 

という意見は皆無です。

 

一般消費者の方が、「一企業での出来事」ということを冷静に捉えています。

 

 

一般消費者は薬局と言えども、一般企業の枠組みである「上場企業」であることを理解していますし、この一経営者の役員報酬を理由に調剤報酬を減額させるなどということは、不合理極まりないことがわかっているからです。

 

もしも、役員報酬を貰い過ぎだと指摘、是正を勧告するならば、株主総会にてその旨を伝えることが正当な方法です。

 

薬局は株式会社運営が可能だというルールに基づいて運営し、現在までの間に、集めた資金で”高度な調剤のシステム化”を実現し、更にはこれからの変革に準備しているのですから、これは一株式会社として世間では当たり前のことではないでしょうか?

 

薬局はあくまでも提示されたルールの中で、運営しているだけなのですから。

 

 

なお、日本調剤の平成27年度決算によると、

 

売上高190,338百万円、給与手当 2,303百万円、役員報酬617百万円計2,920百万円

 

調剤報酬額に対する人件費率は

 

15.3%(日本調剤株式会社平成28年3月期有価証券報告書より算出)

 

です。

 

平成25年度国民総医療費に占める医療サービス従事者の人件費率は

 

46.4%

 

ですから、薬剤師報酬だけを考えれば調剤報酬って低いですよね。

 

という話です。

調剤薬局への医薬分業に対するインセンティブに関して

「院内で薬を出した方が医療費は安かった。」

 

この事実に対しては、当たり前としか言いようがありません。

 

元々、院内調剤にはディスインセンティブが働いていたのですから院内と院外を比較するには非論理的すぎます。

 

 

インセンティブを付け過ぎと言うのならば、それは何点であって、その根拠となるものは何なのか?

 

全調剤報酬額に対してインセンティブは何%を占めているのか?

 

 

 

もし院内で出していたら…なんていうタラレバの話は全く意味がありません。

 

そもそも医薬分業の意図するメリットに対しての論述が皆無です。

 

現在の技術料は薬剤師の職務・職責評価も含まれますので、薬局の機能を旧態依然の「薬を患者に手渡すだけ」としか捉えていないような感覚でインセンティブの大小を指摘するには浅はかではないでしょうか。

 

医薬分業が飛躍的に拡大した1990年代以降、厚生省(現厚生労働省)が院内調剤で利益の出ない仕組みを作り上げ、意図的な利益誘導による医薬分業を計ったことが事実であるならば、利益の出ない院内調剤と独立経営をしている院外薬局の生産性を比較すること自体がナンセンスです。

 

 

はたまた、院内の薬剤師と薬局の薬剤師が同じ仕事をしていると思っているのでしょうか。

 

 

薬局における調剤業務一覧
日本薬剤師会「薬剤師の将来ビジョン」より

地域包括医療における服薬管理は医師がおこなうものに関して

職掌・職域に関する問題です。

 

日本だけでなく、医療先進国が築き上げてきた医師・薬剤師の適切な職掌について根底から覆す意見ですので、薬剤師に成り代わって患者にとって最善の服薬管理ができる根拠を示していただきたいです。

 

算定要件に服薬管理が入ったことが直接的な理由ではありません。

 

出来ないことはできないと言えばいいわけですし、加算しなければいい問題です。

 

服薬管理の内容によっては薬剤師軽視、如いては患者軽視につながりますので、上記、薬局業務について患者に対し医師がどのように職責を果たしていくのか知りたいところです。

 

恐らく、これについても日本医師会に所属する医師の総意ではないと思っています。

 

現場で生活者に向き合っている尊厳ある医師の皆様であれば、こんな発言にならないはずですから。

ところで日本薬剤師会は何をしているのでしょう?

薬局に勤める薬剤師を代表する、日本最大の薬局薬剤師組織の日本薬剤師会。

 

現在に至るまで、上記記事に関して対外的な声明文が発信されていないことが残念でなりません。

 

「日本調剤が薬剤師会に加盟してないから、関係ない。」では済まされないですよね。

 

「薬歴未記載の問題があって言いづらい」でもありません。

 

1220の薬局で81万件の未記載があったとしても、応需処方箋の99.9%は適切な調剤をしていた計算ですから、その一部をこれ見よがしに突いてくる論法に臆することなんてないと思いますが。

 

99.9%の処方箋を応需した薬局・薬剤師の為にも

 

薬局を貶めるための発言

 

に対しては正々堂々と薬剤師の代表としての意見を発信してほしいです。

調剤報酬改定に関わる重要な問題

当該記事が調剤報酬改定に与える影響を考えると非常に問題があります。

 

皆さんは、平成28年の調剤報酬が決定し、スタートした直後の4月26日の記事に平成26年の話題を持ち出して「調剤報酬の減額」を訴えるやり方に疑問は感じませんか?

 

次回改定時における調剤報酬減額の布石を敷き詰めているとしか思えません。

 

時系列で見てみると、これは確信犯と言わざるを得ません。

 

 

この記事の内容に関しては、現時点において既に調剤報酬に加味されているべきものであり、次回報酬改定に寄与するものではないということを明確にしておかなければなりません。

 

 

かかりつけ薬局の制度がスタートし、現在は新たな薬局の在り方を模索する大切な時期です。

 

 

しかし、こういった薬局に対する批判的な意見が同じ医療関係から発信されている事実は、薬局に勤務する薬剤師の不安を煽り、モチベーションを下げ、地域包括医療の推進に悪影響を与えているはずです。

 

日本薬剤師会には一刻も早く日本医師会の記事に対しての見解を発信することを望みます。

調剤報酬の抜本的改革に関する私見

上記記事を書くに至ったのは、かかりつけ薬局・薬剤師の制度がスタートし、薬剤師の将来を予測する上で調剤報酬の抜本的な見直し(診療報酬制度における医療費の再配分)が必要と感じたからです。

 

 

 

技術料が未だに”医薬分業のインセンティブ”と捉えられているということは、現在薬剤師がおこなっている調剤が必要行為と捉えられていない、

 

若しくは薬剤師の調剤行為が求められているレベルに達していないから、”医薬分業のインセンティブ”の範囲を脱しないということです。

 

いつになれば、インセンティブではなく薬剤師の真っ当な評価に対する報酬になるのでしょう。

 

 

鶏が先か卵が先かの問題ですが、調剤報酬の論議は永遠にメビウスの輪を脱することが出来ないのでは、と憂慮してしまいます。

 

 

2025年までに、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指す。

 

 

これは、厚生労働省が発信した「患者のための薬局ビジョン」からの抜粋ですが、

 

24時間対応可能な体制ということについて、

 

 

24 時間調剤や在宅対応について、かかりつけ薬局単独での実施が困難な場合には、地区の薬剤師会が主導的な役割を発揮するなどして、近隣の薬局との連携体制の構築や、地区又は広域の薬剤師会のバックアップにより輪番で対応することが考えられる。ただし、この場合でも、単に対応可能な旨を標榜するのみならず、定期的に自局で 24 時間調剤・在宅対応を行うことが求められる。

 

と説明しています。

 

今までと異なり、定期的とはいえ実質的な24時間営業を求められています。

 

地域包括医療に参画する薬剤師の職掌、働き方が大きく変わろうとしている現在、”医薬分業のインセンティブ”と揶揄される既存の調剤報酬制度を踏襲しなければならない理由はないはずです。

 

 

平成28年の改定では

 

本体部分 0.17%

薬価  ▲1.22%

※その他門前薬局の報酬減額40億円

 

であり、薬剤師の労働に対する評価は何も加味されていません。

 

 

 

給与額の高い低いについては個人の価値観に基づくものだとした上で薬剤師の収入について記載しますが、

 

「第20回 医療経済実態調査(医療機関等調査)報告-平成27年実施-」について(平成27年11月20日公益社団法人 日本医師会)

 

によると、法人の保険薬局に従事する薬剤師の平成26年度年収は

 

管理薬剤師 : 773万円

 

勤務薬剤師 : 474万円

 

です。

 

 

薬学部では6年間の薬学教育を受けて、他学部と比較すると2年間の収入ロスがあります。

 

私立薬学部では卒業するまでの平均学費1200万円です。

 

卒業後、調剤薬局に就職して勤務薬剤師になると、24時間営業をしていて平均年収474万円。

 

 

薬剤師に明るい未来はありますか?

 

 

このままでは薬学部への入学希望者はさらに減少し、薬剤師の質の担保も不可能になるでしょう。

 

 

2015.10.29産經WESTの記事によると医師の平成26年度年収は

 

一般診療所の院長(主に開業医) : 2914万円

 

民間病院の勤務医 : 1544万円

 

です。

 

 

さて、この収入格差は何の差なのでしょう?

 

医師は昼夜問わずに医療を求められることに対しての対価が多くを占めると思っていましたし、今でもそう思っています。

 

それが薬剤師も同様の責任を負うようになったわけです。

 

それでも薬剤師の収入が今後も変化しないのであれば、何をどのようにすれば「薬剤師になりたい若者」が増えるのでしょうか。

 

 

これが明確にならない限り、調剤報酬額を減額する必要は無いと思いますし、

 

本来であれば、国民総医療費で最も多額の支出項目である人件費にメスを入れることの方が先決ではないかと思います。

 

かかりつけ制度がスタートした今がまさに、調剤報酬に対する抜本的な見直しを行うチャンスであり、これを逃せばその機会はいつ到来するのかわかりません。

 

薬局が儲けすぎというニュースに対する掲示板での消費者意見を見ていただいても、医療費の再分配が正論ではないかと思います。

 

薬剤師会に所属していない、現場にも立っていない私が出来るのは記事を書くことだけです。

 

あとはより多くの薬剤師の皆さんにこの記事を共有していただき、日本薬剤師会各支部を通じて日本薬剤師会へ「国に対する請願書の提出」を要望することが、調剤報酬制度の抜本的改革への近道になるのではないでしょうか?

 

ボトムアップの組織なのですから、必ず出来るはずです。

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コメント: 2
  • #1

    高望み (木曜日, 21 7月 2016 12:49)

    薬局経営者の人格に問題があり、一個人から見て 評判が悪いから叩かれるのではないでしょうか?
    企業の利益と医療費から報酬をもらっている組織の給料の貰い方が同じで良いとは思いません。
    学費と給料の比較をされていますが、一般の人は 給料が安くても 自分の仕事に誇りを持ち そんなコト考えずに働いている方、沢山います。 学費と給料を比較する時点で 医療をどう考えているのだろうか?ただの儲ける手段としか考えていないのでは?と疑問です。

  • #2

    高望みさんへの返信 (木曜日, 21 7月 2016 15:05)

    高望みさん、コメントありがとうございます。ことだまこまちです。当ブログ(2016.6.14~ )への初めてのコメント、ありがとうございます。

    以下、返信です。

    >薬局経営者の人格に問題があり、一個人から見て 評判が悪いから叩かれるのではないでしょうか?
    >企業の利益と医療費から報酬をもらっている組織の給料の貰い方が同じで良いとは思いません。

    おっしゃる通りですね。個人的には多々思うところがあります。
    ただ、記事内においては役員報酬の問題を調剤報酬減額の理由にするという不合理な考え方について記述をさせていただきました。

    >学費と給料を比較する時点で 医療をどう考えているのだろうか?ただの儲ける手段としか考えていないのでは?と疑問です。

    まずは記事内でわかりづらい記載になっていたことをお詫びします。
    現在、薬学部の定員割れ問題が叫ばれている中、将来薬剤師を目指す若人が減ってしまうのではないかという懸念です。
    一般の生活者は学費支出を将来の給与収入に換算します。現在、大学生の2人に1人が奨学金を受給していますので、将来返済の見通しのない職業にはつきません。
    薬学部全額奨学金の場合は毎月2万5千円返済の40年ローンで、多くの薬学生がこのような状況になっています。
    6年制の薬学部の中では、これが理由で就職の窓口が狭くなっている(病院での就職をあきらめる)という問題も実在しています。

    給与額の高い低いについては本文中にも記載しました通り、個人の価値観に基づくものです。しかし、一個人の生活は労働収入が無ければ成立しませんので、学費支出でローンを組んでいる場合は学費と給料は比較せざるを得ません。

    薬学部の入試倍率は10倍を回復してきたとはいえ、2005年の26.3倍と比較すればまだまだ半分です。薬剤師の仕事がより魅力的になり、薬剤師を目指す若い方が増えることを祈っています。長々と失礼しました。