2025年までに全薬局が24時間対応を求められていますが。

24時間営業の店舗の画像

平成27年10月23日に厚生労働省が発信した【患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~】を薬剤師の皆さんは読みましたか?

 

国として初めて薬局の未来(ビジョン)を語ったこの発案、薬剤師として知っておかなきゃですよね。

 

その中でも私が独断と偏見で最もインパクトを受けた「2025年までに全薬局の24時間対応」について、多くの薬剤師の皆さんに知っていただきたいと思って記事を書きます。

 

知っている方も多いと思いますが、”ぶっ飛んでる”と思いませんか?

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全薬局24時間対応の詳細は?

薬局の24時間対応に関して、世の中には楽観している薬剤師の方が多いように思いますが、皆さんはいかがですか?

 

やっぱり原文を紹介しないと現実味がわきませんので、多少長いながらも必要な箇所は全て引用文を掲載させていただきます。

 

まず、厚生労働省(国)が薬局のビジョンに言及している文章の中から、【全薬局の24時間対応】に関わる箇所を抜粋します。

 

出典:患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

P21 

 

(2)2025 年までに目指す姿 

 

〇 薬局においても、地域における既存の役割等も生かし、薬物療法に関して、こうした地域包括ケアシステムの一翼を担うことが重要であり、2025年までに、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指す。

 

 

では、厚生労働省が考えるかかりつけ薬局としての機能とは?

 

 

出典:患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

P11~P15 ※項目抜粋

 

① 服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導

24 時間対応・在宅対応

③ かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化

 

ここでかかりつけ薬局が24時間対応の機能が必要であると言っています。

 

24時間対応の中身を見てみましょう。

 

出典:患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

P12~P14 ※抜粋

 

○ 地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師は、薬局の開局時間内に限らず薬物療法に関する相談を患者から受けたり、場合によっては調剤や在宅対応を求められることが想定される。薬局としても、かかりつけ薬剤師がこうした対応を行えるよう、地域包括ケアの一環として、夜間・休日を含め、電話相談や調剤等の必要な対応(24 時間対応)を行う体制を確保することが求められる。

 

〇 具体的には、まず、開局時間については、医療機関を受診した患者が薬をスムーズに受け取れるよう、少なくとも、特定の医療機関のみに合わせ

るのではなく、地域に所在する医療機関全体の診療時間に合わせて薬局が開局していることが必要となる。

このため、薬局は、原則として平日の開局日には連続して開局(午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以上)するほか、地域の医療機関

全体の診療時間やその薬局の機能に応じて開局時間を設定することが望ましいものと考えられる。

 

〇 また、夜間・休日であっても、子どもを持つ親や、妊娠中・授乳中の女性などを中心に、薬の副作用や飲み間違い、服用のタイミング等に関する電話相談のニーズは高い。

このため、開局時間外にも随時電話相談を行えるよう、当該患者の状態を把握しているかかりつけ薬剤師(かかりつけ薬剤師が対応できない時間帯がある場合にはかかりつけ薬剤師と適切に情報共有している薬剤師を含む。)が相談等に対応できるようにすることが必要である。

 

簡単に言えば、日薬の基準薬局みたいなものですね。

 

もう、全国の半分以上の薬局が24時間対応の体制をとっているということになります。

 

次に基準薬局以上に求められている部分です。

 

〇 さらに、夜間においても、例えば在宅患者の症状が悪化した場合など、緊急に調剤を行うことが必要な場合に必要となる対応を行う機能が求められる。

 

○ 一方、在宅患者への対応としては、入院から外来、施設から在宅への流れの中、認知症患者や医療密度の高い患者にとっては、在宅での薬学的管理が受けられることが今後ますます必要となることから、かかりつけ薬剤師・薬局においては、服薬アドヒアランスの向上や残薬管理等の業務を始めとして、在宅対応に積極的に関与していくことが必要となる。

 

〇 その際、24 時間調剤や在宅対応について、かかりつけ薬局単独での実施が困難な場合には、地区の薬剤師会が主導的な役割を発揮するなどして、近隣の薬局との連携体制の構築や、地区又は広域の薬剤師会のバックアップにより輪番で対応することが考えられる。ただし、この場合でも、単に対応可能な旨を標榜するのみならず、定期的に自局で 24 時間調剤・在宅対応を行うことが求められる。

 

○ 薬局の中には、開局時間外の対応や在宅業務の体制の整備を行っているものの、実際には在宅対応を行っていないところも存在している。しかしながら、薬局における医療機関や訪問看護ステーションとの連携体制の整備状況や、介護支援専門員、訪問看護師との連携の状況などを見ても、薬局が地域包括ケアシステムにおいて役割を果たすためには、在宅対応を実際に行っていることが重要であることは明らかであり、単に体制が整備されているだけでは不十分であることに留意する必要がある。

 

結構衝撃的ですよね。

 

現在の「24時間対応できますよ!」ではダメで、実際に、定期的で構わないから24時間調剤・在宅対応しなさいと。

 

もう一つ、時間外対応・在宅業務は”体制が整っているだけではダメで、実際に行っていることが重要だと。

 

要するに、国は

 

薬局は2025年までに「地域包括ケアシステムにおいて、地域連携・医薬連携・薬薬連携・その他医療連携をしながら、24時間体制で調剤・在宅対応ができる」ようにしなさい

 

と、こうおっしゃっているんです。 

国が求める薬局について思うこと。

結論から言うと、厚生労働省が死中に活を求める思いで作成した机上論としかいいようがありません。

 

そもそも2025年までに全国で地域包括ケアシステムが本当に機能すると思っているのかが甚だ疑問です。

 

医師をはじめとする医療従事者のどこに、そんな余剰な人員がいると思いますか?

 

薬局の在宅業務を考えれば人員不足をイメージをするのは簡単です。処方せん1枚を調剤する事とはわけが違いますからね。

 

 

現在でも病院・診療所で働く医師や看護師の人員不足問題が顕在化している中で、より手間ひまのかかる在宅医療に割ける人員がいないことは明確です。

 

実際に、在宅療養支援診療所の届出数の推移と診療状況<在宅療養支援診療所届出数>は平成25年現在、一般診療所100,528件のうち、15000件にも届いていません。【出典:保険局医療課調べ(平成25年7月1日時点)、厚生労働省 平成25年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況】

 

実態は薬局の方が在宅支援施設数は進んでいるんです。たったこれだけでも。

 

 

さらには、地域包括ケアシステムにおける予算を見ても全くやる気を感じられないのは、私だけでしょうか?

 

予算なくして実施は難しいですよね。

 

 

こういった中、厚生労働省から薬局ビジョンが出されたことは非常に遺憾に感じますし、憤りさえ覚えます。

 

現在、全国の薬局における薬剤師人員は1店舗当たり2.79人。

 

厚生労働省は、たったそれだけの人員で全ての薬局において処方箋応需在宅対応24時間体制の実施が本当に可能と思っているのでしょうか?

 

雇用・労働をも管轄する省庁の発する言葉とは到底思えないんですが。

 

結局は、医療費問題・高齢化問題である2025年問題から言い逃れするだけの施策としか思えません。

 

 

現場に目を向けられず、経済施策としてだけの目線で薬剤師が見られ、薬局のビジョンが決められてしまうなんて、非常に悲しいことですよね。

 

在宅が必要なことなんて、小学生でもわかるんですから、そこに付け入って「在宅ありき」から話がスタートするのは本来ズルいやり方だと思います。

 

論点が違ったら、何の話も出来ないですから。

 

本来論ずるべきことは、薬剤師の現場がなぜそんなにも人が足りないのか、どうしたら円滑な薬剤師業務になるのか、まずはここからだと思いますけど。

問題提起で終わってしまいスミマセン

全薬局の24時間対応化について、まずは問題提起をさせていただきました。

 

2025年までにあと約9年ありますので、これからその時を迎えるまでに何回も議論され、より良い薬剤師の活躍の場になればいいなと心から思います。

 

今は、薬剤師一人ひとりがこの問題に対して真剣に考えることが必要なんだと考えています。

ダウンロード
患者のための薬局ビジョン 平成27年10月23日 厚生労働省
患者のための薬局ビジョン.pdf
PDFファイル 817.2 KB

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コメント: 1
  • #1

    薬剤師 (日曜日, 17 9月 2017 22:58)

    ある程度の年齢になったら死を受け入れるのが大切な考えだと思います。日本はお金儲けのための医療です。24時間営業は過剰なサービスなので全国的にやるのは頭が狂ってるとしか思えません。