在宅医療の裏側を薬剤師に聞いた!

私が採用の仕事をしていた時代、面接のときに薬剤師さんから聞いた”生の在宅現場”のお話しです。

 

国が在宅医療を推進している現状での、困窮した在宅医療の現場が見て取れると思います。

 

今後、日本での高齢化(2025年に65歳以上人口が30%を超える)を前にして、在宅医療現場の環境改善がなければ医療計画も絵に描いた餅。

 

医療費問題との睨み合いが続きますが、国には現場で働く医療人のことをもっと真剣に考えて欲しいものです。

<スポンサーリンク>

薬局における在宅医療の裏側の話

時代の先端をいかなければならない在宅医療なんですが、まだまだ”薬剤師の職域”として機能はしていないみたいですね。

 

私が薬剤師の面接をしていた際に、実際に話を聞いた薬剤師の声を聞いてください。

 

この薬剤師さん達は皆さん「もう在宅をしたくない」と言っていました。

目次に戻る

20代女性薬剤師の話

在宅医療に携わりたくて調剤薬局に入社し、在宅医療の体制が構築されている現場でやりがいをもって働いていました。

 

70歳くらいのおじいさんを担当していたんですが、一人暮らしの部屋は掃除がされておらずゴキブリをよく見かけるくらいの不衛生な状況です。

 

定期訪問するときには少しでも身の回りの物を片付けてあげようと思って、頑張っていました。

 

それが、ある日突然、体を触られてしまってその日から恐怖のために居宅への訪問が一切出来なくなってしまいました。

目次に戻る

30代男性薬剤師の話

在宅医療をやってみたいと思って今の会社に転職しました。

 

小さな薬局なんですがたくさんの在宅訪問先を抱えていて、私の担当は”居宅訪問”です。毎朝9時に薬局を出発して午後6時までには薬局に戻ってくる。毎日10件程度の在宅訪問をしていました。

 

服薬指導をする十分な時間もないですし、宅配便みたいな仕事はもう嫌です。

目次に戻る

40代男性薬剤師の話

薬局の管理薬剤師として在宅・施設調剤に力を入れて頑張っていました。

 

夏休みのある日、家族旅行で出掛けていた時に夜中の2時に携帯電話が鳴りました。介護施設の担当医からでした。「今すぐに来てくれ。」と。

 

戻るまでに高速を飛ばしても3時間かかるため、他の薬剤師スタッフにお願いをしたんですが”薬剤師責任”を考えると家族旅行に行くのも忍びないですね。

目次に戻る

在宅医療は本当に浸透するのか?

これらの話は薬剤師に限ったことではなく、医療関係従事者全般にわたる問題だと思っています。

 

最初の女性のお話は、”医療支援の前に生活支援”の必要を感じますし、医療従事者のリスク管理がないがしろにされているのでは、と不安を覚えます。

 

2番目の薬剤師が”宅配便”のような仕事になっているという現実では、在宅医療に係る人員不足がそのまま露呈している話です。

 

3番目は在宅医療の仕組み自体に問題を感じざるを得ません。

 

現在、国が在宅医療を推進している中、現場でこのようなことが起こっていることも事実です。

 

しかし、http://www.projectdesign.jp/201505/healthstation/002092.phpに紹介されているような会社経営者もいますので、これから薬剤師一人ひとりの声が大切になってくるはずです。

目次に戻る

国が推進する在宅医療

在宅医療の体制(案) 出典:厚生労働省医政局指導課 在宅医療推進室
<クリックして拡大>

平成24年3月30日に「医療計画について」が通知されました。(厚生労働省医政局長通知)

 

平成25年から始まる5ヵ年計画にあたるものです。その中で在宅医療の推進について言及されています。

 

左(上)の「在宅医療の体制(案)」は通知の「資料A-5 在宅医療について [2,654KB]」より引用したものです。

 

これから薬局は「退院支援」「日常の療養支援」「急変時の対応」「看取り」とすべての在宅医療支援に関わることが分かります。

 

薬剤師一人ひとりがこの医療体制を頭に入れて、今後の高齢化社会に対応出来るようにしておかなければいけませんね。

目次に戻る

薬局の在宅医療参画は可能か?

在宅療養支援診療所医師の24時間体制への負担(グラフ)
<クリックして拡大>

左(上)の「在宅医療支援診療所医師の24時間体制への負担」は通知の「厚生労働省医政局長通知資料A-5 在宅医療について [2,654KB]」より引用したものです。

 

「医師が3人以上いても負担を感じている医師は62.5%」

 

という調査結果です。

 

在宅医療における薬局・薬剤師の役割と現状(グラフ)
<クリックして拡大>

左(上)の「在宅医療における薬局・薬剤師の役割と現状」は通知の「厚生労働省医政局長通知資料A-5 在宅医療について [2,654KB]」より引用したものです。

 

「3人以上薬剤師が勤務している薬局は29.1%」

 

医師と同じように3人以上の勤務で24時間体制の負担感が少なくなるのであれは、現状は3割にも満たない薬局にしか在宅医療への参画は難いということです。

目次に戻る

在宅医療が実現可能な医療提供施設への転換を

では、薬剤師と医師がどれぐらい従事しているかというと、

 

平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(厚生労働省)によると、平成26年12月31日現在、

 

医療施設に従事している医師数は296,845人(診療所従事者101,884人)

 

薬局に従事している薬剤師数は161,198人

 

厚生労働統計の医療施設調査によると、平成26年10月1日現在、

 

一般診療所の数は100,461

 

厚生統計要覧(平成27年度)第2編 保健衛生 第4章 薬事によると、

 

薬局の数は57,784

 

となっています。

 

医師も薬剤師も”負担感のない24時間の在宅医療”を行うには到底、人数が足りません。

 

まずは、在宅医療に関わる医師数が増えなければ薬剤師他の医療従事者も在宅に関わることが出来ないのですが、これは医療業界全体の仕組みの問題です。

 

調剤報酬額が上がったから在宅医療に参画しよう!

 

というのは現場を知らない人間がいう言葉であって、

仕組みを作る人こそが、今日お話をさせていただいたような「現場の声」をよく聞いて、ルールに反映していただきたいものです。 

目次に戻る

<スポンサーリンク>

<スポンサーリンク>