新潟薬科大「長野薬学部」の設置断念の理由は?

新潟薬科大学長野薬学部キャンパスの完成予想図

新潟薬科大学の長野薬学部の新設については予てより賛否の論議がされていましたが、同大は「地元の理解、支援が得られなければ大学単独での設備投資は困難」と見通しを説明し、計画撤回を最終決定する見通しとなりました。

 

設置断念における大きな要因は「長野県薬剤師会」の反対です。

賛成派の「上田薬剤師会」や「信州大学医学部」と反対派の「長野県薬剤師会」との間で協議がされてきましたが、長野県は「検討の前提として県薬剤師会などの賛同が必要」としていたため、県からの財政支援が得られずに断念する事となりました。

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薬学部新設への高いハードル

筆者は長野県への薬学部新設に対しては大いに賛成の考え方(薬学部の新設は本当に悪なのか?)をしていましたので、今回の断念のニュースは非常に残念でなりません。

 

新潟薬科大学 長野薬学部の新設にあたっては設置費用は最大80億円、大学側は上田市と県に各25億円の支援を求めてきました。当然のことですが大学としても地域の支援を得ないと大学の開設は出来ません。

上田市は大学の設置支援に前向きでしたが、長野県は「県薬剤師会などの了承を条件に支援を検討する」というスタンスをとっていました。

 

しかし、2017年4月22日に開催された長野県薬剤師会の理事会で長野薬学部設置に反対する意向が確認され、県は大学設置の支援に至らず大学は開設を断念せざるを得なくなったという状況です。

 

 大学または学部の新設に対しては設置費用のみならず近隣自治体の理解など様々なハードルがあります。

今回に関しては上田市の理解は得られ長野県は「有識者の判断に委ねた」ということで、結果的には「長野県薬剤師会」の反対によって薬学部新設を断念することとなったわけです。

 

しかし長野県薬剤師会は反対意見に至った理由を公表しておらず、新潟薬科大学長野薬学部の新設を楽しみにしていた筆者にとっては大変残念な状況でこの問題の終焉を迎えそうです。

薬学部新設へ反対の理由とは?

今となっては結果が変わることはないとはいえ、開設に反対した県薬の意図が計りかねるというのが筆者の思いです。

 

薬学部の新設については賛否両論あるのは十分に承知していますが、反対意見の多くは財政出動を迫られる自治体からのものであって近隣の薬局や病院においては薬剤師不足の問題もあり、現場目線では歓迎なのではないかと思っていたからです。

 

「薬学部の新設は本当に悪なのか?」で記載した通り、今まで(これからも)薬学部の希望者の多くは関東の学校に通うこととなり、薬剤師志望者の長野県からの流出が問題だと思っていました。
長野県の薬剤師が足りているというのであればいいのですが、現状はそうでもないはずですし薬剤師不足の問題が少しでも解消されるのであれば、長野県初の薬学部設置は薬剤師会も喜ばしいことなのではないでしょうか?

結果的に赤字経営に陥ったとしても痛手を負うのは学校法人と自治体(間接的に納税者)ということになり、薬剤師会にとってどんなデメリットがあるのだろう?と勘ぐってしまいます。
筆者の知らないデメリットがあるのでしょうけれども。

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まずは県薬と市薬の連携が先だったのでは

このような結果になると様々な憶測を呼ぶこととなってしまいます。

まず筆者が言いたいことは「薬学部の定員割れ等の問題は学校の経営や運営の問題であることから、設置される前の論議には当たらない。」という事です。

 

「全国的に薬学部が定員割れをしているのだから新設しても学生は来ない。」というのは論点が違いますよね。

もしそれが正論であるのならば、今後一切の薬学部は新設しても意味がない。ということになってしまいます。

 

薬学部が人気を得るために努力していることは様々ですし、例えば今回の件に際しても「信州大学医学部で病院実習ができる」となれば当然人気が出てくるでしょう。※あくまでも仮定の話です。

 

 

丸善雄松堂が行った進学ニーズ調査の結果では、

”昨年9~10月にかけて長野、群馬、山梨、石川、富山、埼玉の高校2年生6095人を対象に行った「進学意向調査」によると、「長野薬学部を受験したい」と考えている高校生は100人の定員に対し、9.7倍に及ぶことが判明。”

引用:長野薬学部設置、賛成留保‐県内初の薬学部、不透明も(マイナビ薬剤師 薬+読)

とのことですので、他の薬学部が定員割れをしているからダメだ、ということでは反対の理由にもなりません。

 

 

それ以前に私が感じたことは「本当に客観的な判断が出来ていたかどうか」ということに尽きます。

県薬が自信を持った反対理由があるのならばそれを公にするべきでしょうし、何よりも気になったのは「新潟薬科大、断念へ 上田への薬学部設置(信毎web)」の記事です。

”会費の徴収・納付義務を巡って上田薬剤師会と係争中の県薬剤師会は一貫して賛同しなかった。”

要するに、長野県薬剤師会が上田薬剤師会に裁判をおこしている現状で真っ当な判断ができたのかどうかということ。

 

県と市の薬剤師会がこのような状況では、長野県が期待していた公正な判断が出来なかったとしてもおかしくはありませんよね。

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