薬剤師の給料・時給の決め方を元人事の薬剤師が大公開!

天秤の画像 給料は需要と供給のバランスの意味

転職時における給料・時給の決め方や、入社後の昇給に関しては薬剤師の皆さんも気になっているところだと思います。

 

このページでは、日本の多くの会社が運用している「職能等級制度」などの一般的な定期昇給のある月給制に関する解説をします。

 

月給制と年俸制との違いについては「年俸制で注意すべきこと」をご覧ください。

 

ご承知の方も多いとは思いますが、薬剤師の給料・時給は地域によって、会社によって全然異なります。

 

ここでは、給料・時給の地域差の理由、基本的な給料の仕組みや給料・時給決定の考え方を皆さんにお伝えしようと思います。

 

その前に1点だけ、給料の大原則を知っておいてください。

 

給料・時給 = 薬剤師の需要と供給のバランス

 

です。これさえ押さえておけば薬剤師の給料・時給の考え方が分かりやすくなると思います。

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薬剤師給料の地域差

他業界の多くでは東京都23区における年収が日本で一番高いのはご存知でしょう。当然これは「有能な人材を雇用するため」です。

 

しかし薬剤師のような資格職では「運営に必要な資格者をいかに確保するのか」が会社や地域生活者にとって必須になります。

 

簡単に説明すれば「薬剤師がいない地域」に行けば給料があがります。「住みやすい」「住みたい」と思う場所は薬剤師がたくさんいますので、いくら郊外であっても給料が高くなることは有りません。

 

薬剤師の給料・時給は日々変動しているので「どこに行けばいくら」なんてことは言えませんが、以前の話として、2015年当初は北海道の北端や東端は一般薬剤師でも年収800万の病院がありました。

 

現在の薬剤師ニーズが高いところは佐賀県と山形県ですので、この両県であれば日本トップクラスの給料提示になるかと思います。しかし、都市部から遠ければ給料・時給が上がるかといえばそうでもありません。例えば沖縄の島は住むのに人気がありますので、そういった人が集まるエリアでは、そうそう年収は上がりません。

 

地域での給料・時給差の理由にもう一つ”地域柄”があります。人事業界の中では有名な話なのですが、中京エリア(特に名古屋)については、子供のころから「仕事といえば製造業か公務員」という教育を受けています。当然世界に名立たる”トヨタ”の影響ですが。

学校を卒業してイザ就職となった際に、サービス業への就職人数が他の地域に比べて”圧倒的に”少ないのです。ですので、中途における求人倍率は常に全国トップクラス。薬剤師においても”派遣時給”は常に全国トップクラスになっています。

 

このように、なんで薬剤師の給料が東京よりも地方のほうが給料が高いのかというと、「その地域に住んでいる、薬局やドラッグストアで働きたい薬剤師が少ないから」です。

 

「稼ぎたかったら地方に行け」。良く言われていることですが、皆が集まってきたら給料は低くなりますので注意が必要ですね。

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薬剤師給料・時給の会社差

十数年前に言われていたこと覚えてますか?

若い方は当然知らないことですけども。

 

「ドラッグは初任給高いけど給料が上がらない、調剤は初任給安いけど昇給がある」と。

 

これはこれで当てはまる会社があったと思います。しかし当てはまらない会社が大半だったのではないでしょうか?

 

結局は会社の収益構造・経営努力によって従業員の給料が決まるのですが、当時の調剤薬局は「低賃金で薬剤師を雇う」という経営手法だったのです。現在は薬剤師ニーズの高まりに給料を上げざるを得ない状況で、ドラッグストアの給料に近づいてきています。

 

さて会社の経営努力による給料差ですが、俗に言う「利益優先」というわけにもいきません。薬局・ドラッグストアは一般的な企業とは異なり、「医療提供施設」という側面も持ちます。利益をたくさん上げたから給料も上げるという仕組みは薬局には通用しません。

 

会社の給与規定は会社の定めた給与支払いのルールであって、会社固有のものになります。今は初任給・昇給ともにドラッグストア業界に分があります。例え調剤専任であってもです。上にも書いたように、調剤薬局がドラッグストアに追い付こうとしている「発展途上」の状態だと思っていてください。

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給料の仕組み

皆さんの給与明細書には「等級号俸」の記載はありますか?

日本式の給料には様々な仕組みがありますが、その多くは等級号俸で基本給を決定し、その他手当を合算したものになっています。

 

給料の項目

  • 基本給:等級・号俸によって決定
  • 役職手当:薬局長、管理薬剤師などの役職者に対する手当
  • 家族手当:扶養義務家族に支給される手当
  • 住宅手当:世帯主に対して支給される手当(一部支払い期限有)
  • 資格手当:薬剤師などの資格者に支給される手当
  • 通勤手当:通勤にかかる費用(限度額有)

 

以上が、月に決まって支給される給料です。

それ以外に、

 

月ごとに異なる給料として

  • 時間外労働手当:いわゆる残業代(1時間当り給料×1.25×残業時間)
  • 深夜労働手当:夜10時以降の残業代(残業代×1.25)
  • 休日労働手当:1時間当り給料×1.25(又は1.35)×残業時間

が労働対価分として支給されます。

 

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昇給の決め方

昇給額を決定する給与テーブル
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ここで給料を増減させる仕組みを考えると、基本給の増減しかありません。もちろん昇格したり結婚したりすれば別ですが。

 

等級号俸表(賃金テーブル:左又は上画像)をご覧ください。等級号俸というのはその人のグレードです。横軸に等級を取り、縦軸に号俸を取ってマトリックス状に数字が並んでいるものをいいます。

 

これらの数字は会社によって異なります。等級は6等級~10等級の会社が多いです。号俸は10号俸~200号俸(無限大)ですので、一般的というのはありません。

 

通常こういった表に基づいて昇給金額が決められますので、どのように基本給が決まり、昇給しているのかを説明します。

 

人事考課の結果に従って昇給額が決まります(中途入社時であれば面接評価など)。会社によって能力であったりスキルであったり人事考課制度によって評価される項目は違いますので、自社のものと照らし合わせてください。

 

<新卒初任給>

サンプルの賃金テーブルで考えると、新卒の場合は、給与規定で入社時の等級号俸が定められています。

例えば「大卒は2等級7号俸である」という感じです。この場合、新卒基本給は210,000ということになります。

 

<昇給のルール>

例えば、5段階の人事考課で「3番目の評価であれば、号俸3ピッチ昇給」「最上位の評価であれば5ピッチ昇給」ということになります。

 

上の表から算出すると、現在2等級18号俸の人が最高評価を得た場合、号俸は5ピッチ上がるので基本給は226,500から234,000になるということです。

 

<中途入社の初任給決定>

中途入社の場合は、「学校卒業年次」または「該当職務のキャリア」を上のテーブルに当てはめていきます。この場合、新卒から毎年標準(真ん中)評価で昇給したと仮定します。

その上で、人物評価やキャリア評価を加味していくという方法が一般的です。

 

<昇級のルール>

昇級とは等級が上がることをいいます。通常新卒入社で1又は2等級からスタートし、薬局長やスーパーバイザーへの昇格と同時に昇給することが多いです。

 

サンプルの等級号俸表を見てもわかる通り、3等級までは1ピッチ1500ですが、4等級以上は2000となっています。このように、昇級によって定期昇給の額も大きくなるということです。

 

このように、会社の給料決定には固有のルールがあって、それに基づいた初任給決定、昇給が行われています。 

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薬局薬剤師の年収と昇給額

まずは薬剤師の平均年収、その他に関する情報です。

 

  男女計
 平均年収(万円) 533.49 587.42  502.36
年齢(歳) 38.7 38.8 38.7
勤続年数(年) 7.1 7.2 7.0
所定内労働時間(時間) 163 165 162
1か月給与(万円) 381.6 427.5 355.1
年間賞与(万円) 755.7 744.2 762.4

出典:平成27年賃金構造基本統計調査 ー職種別第1表 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)

現在、薬剤師の平均年収は533万円となっていますが、この統計は薬剤師の職種すべての平均年収となっていますので、チェーン薬局に勤める薬剤師の平均年収はもっと低いのではないでしょうか。

 

小規模の薬局ほど年収が高く、大規模のチェーン薬局であるほど年収が低いことが統計から分かっています。

 

小規模薬局には就業規則がないため、労働者が守られることはありません。結局は年収とリスクのどちらをとるのかの問題です。

 

そして、数多くの薬剤師人材企業の皆様のお話しを聞くと、調剤薬局における昇給額は総じて「3000円程度」ということでした。

 

世の中では6000円とか8000円などその年の平均昇給額が発表される中、なんとなく寂しい思いをしてしまいますね。

 

しかしながら、現実をみるとこの昇給額が事実ですので、まずは昇給の考え方を知って、ご自身の年収アップのための参考にしていただければと思います。

 

当然転職活動の中で昇給の有無・昇給額は確認したほうが良いですが、自分の希望額に達する会社はほとんど無いと思っていたほうが良いでしょう。

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調剤薬局における昇給の考え方

給料は得られた利益の中から支給されるものです。では、薬局に努める薬剤師一人当たりの利益はどれくらいでしょう?なんて考えたことがある方は少ないと思います。

 

例えば、頑張って1日30枚の処方箋を応需したとします。平均単価が1万円(売上30万円)、医薬品の原価率が70%、家賃光熱費が10%、本部経費5%、その他経費が5%とすると残った利益は10%=3万円です。この中から薬剤師と医療事務の給料、会社の利益が分配されると思ったら良いでしょう。

 

さて、ここで考えなくてはいけないのは、「薬剤師の一人当たり生産性」です。実はこのシミュレーションは「新卒であっても、キャリア40年のベテランであっても」変わらないということです(薬事に関する法が変わらなければ・・・)。

 

本来、生産性が変わらなければ賃金が変わらないという世の中のルールの中で、薬剤師の賃金ルールは少し異質なんですね。新卒なのに生産性の高い新卒は当然初任給が高くなります。でも生産性が変わらないから、キャリアの分だけ少しずつ昇給していくということです。

 

しかも退職までの昇給分を利益の中で確保しなくてはならないから、上記シミュレーションでいうと日給のMAXが医療事務と二人で3万円という限りあるものになるわけです。実働20日で月給60万円(医療事務分含む)。これが平均月給のMAXでしょう。

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薬剤師転職者の給料の決定方法

中途で入社する薬剤師の給与決定の方法を公開します。あくまでの一般的な、ということでご了承ください。

 

まず、給与決定に必要な情報を履歴書や面接で収集します。必要な情報というのは下記のとおり。

  1. 年齢、該当業務の経験年数
  2. 経験の詳細(本物かどうか)
  3. マネジメント経験
  4. 発言や振る舞いなどの基本的能力
  5. 身だしなみ

この基本的な情報を踏まえて自社の等級号俸表に当てはめ、「自社の従業員との能力差を加味」します。

 ですから、キャリアが非常に大切だということです。

 

応需診療科目で抜けがないとか、レセコンの使用歴や電子薬歴の管理など、即活躍ができるか否かという判断が大きくなっています。

 

自社従業員のキャリアと同等の基本給を設定した後、その他の手当てをプラスしていきます。

 

そして、悩むのは「マネジメント経験」です。他社でマネジメント経験があっても自社のルールで即戦力となることはないので、そのキャリアを提示する給料に含めるかどうか検討します。※薬剤師の待遇で紹介しています

 

ドラッグストアの場合、職種により給料が変わります。調剤専任・OTC専任・OTC調剤兼任です。

ここで皆さんに知っていて欲しいのは、「同一労働・同一賃金」という日本の労働市場における給与ルールです。

 

はっきり言えば「OTC調剤兼任がその他専任の薬剤師と同等の給料であったら」それは割りに合いません。調剤業務・OTC業務両方の責任を負って仕事をするという価値は評価してもらいたいものですね。

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薬剤師パート時給の決定方法

薬剤師のパート求人は、良く新聞広告に掲載されています。そこで時給を見ると1800円~や2000円~の企業が大半です。一昔でいえば時給相場として平均的だったかもしれませんが、現状でいえばこの時給は「経験浅、扶養内、平日午前中のみ」の勤務でいただける程度の時給です。

 

では、薬剤師の時給は何をもって決定されているのでしょうか。

  1. 当該業務の経験期間(薬局・ドラッグストア)
  2. 出勤可能時間帯
  3. 出勤可能曜日
  4. 週労働時間

当然、人柄等も評価に入りますが、「いくらまで時給を出して良い」という時給の決定幅は上記の4項目で決まっていると思ってよいでしょう。また、その店舗で働いている既存薬剤師の時給とのバランスも有ります。

では、具体的に高時給となる勤務条件を下に挙げます。

  1. 当該勤務のキャリアは長いほうが良い(少なくとも2年以上)
  2. 勤務時間帯は午後から夜にかけてニーズが高い(午前~14時までは時給がプラスされない)
  3. 月1回でも土日祝に勤務できるだけで時給UP
  4. 週労働時間は長ければ長いほうが良い

全項目に当てはまるようであれば、時給2割増も夢では有りません。

しかし、パート勤務を選ぶ条件として「家から近い」という希望がある方が多いかと思いますが、この場合は「近くに求人を出している店舗があるかどうか」が重要です!

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